2019.09.19
今日のすぎのこ
第4回「親学塾」を開催しました。
先日、「たんぽぽ組」さんの「自作カメラ」のことをお伝えしました。きょうは、そのカメラで撮影会を実施したようです。 後ほどご紹介しますが、きょうは「親学塾」が開催されており、jimjimは、その会場であるホールにいたわけですが、「親学塾」が終わって職員室に戻ったら、直人先生と森戸先生が「「たんぽぽ組」さんに行ってみてください、写真を現像していますから!!」というので、カメラを持って急行しました。 Jimjimが到着したときには、すでに撮影会は終了していて、現像も残りわずか数人の作品を残すのみ。「滑り込みセーフ」でした。 1枚目の写真をご覧ください。机の上に並んだ作品が、「自作カメラ」で撮影した作品です。「カメラ」で撮影したものを自分で画用紙に「現像」したわけです。いまの時代は、デジカメが主流ですから、本来は「プリント」というところですが、子どもたちが「カメラ」のレンズを通してみた光景を画用紙に描くのですから、むしろ「現像」という表現のほうが的確のような気がしました。
「ボクの作品、どう?」。 「裏もあるよ」。 といってみせてくれたのが、この裏面。現代の「現像技術」をもってしても考えられない「両面現像」ですが、子どもたちのテクノロジーにかかると「お茶の子さいさい」。 子どもたちの技術は、常に「最先端」であることを痛感しました。
年少さんは、きょうは運動会の練習がお休みだったようです。そのお休みを利用して、「ぞう組」さんは、おもしろい製作をしていました。
「ぞう組」さんなのですが、「製作」するのは「鳥さん」の絵。まずは、「鳥さん」に「目」のシールをくっつけます。 これだけでも十分にかわいい「鳥さん」ですが、ここから好きな色でお飾りしていきます。
線を引いたり、塗りつぶしたり、〇を描いたりと、子どもたちの技法はさまざま……。
よく大人になると「型にはまる」といいますが、この子たちにはまだ、はまる「型」がないんです。ですから何をしても自由自在。
うらやましいくらいの自由な描き方です。その自由な作品について、大人が勝手な評論をするのは、むしろ大人自身が狭い世界、狭い視点でしかみることができていないことを、自ら証明しているような気さえします。 大人は、静かに子どもたちの作品を受け止めて、子どもたちの自由な感性を大切にしていきたいですね。
そして、冒頭に触れましたように、きょうは今年度第4回目となる「親学塾」を開催しました。きょう講師にお招きしましたのは、NHK Eテレ「すくすく子育て」でおなじみの汐見稔幸先生です。 汐見先生による「親学塾」は、今年で何回目になるのでしょう。そのくらい、汐見先生の「親学塾」は回数を重ね、杉之子ではもう毎年の恒例行事となりました。 今回のテーマは、「人間らしく生きる力をどう育てるか」です。では、さっそく汐見先生のお話を振り返ってみましょう。 きょうのお話は、日本の経済に視点を置いたところからスタートしました。戦後、1960年から70年にかけて、日本の産業が農業から工業へとシフトした時代。そして、オイルショック。70年代後半には、コンピュータが社会に浸透しはじめ、鉄鋼や造船にみるような「重厚長大」産業は衰退し、情報産業が躍進します。 そういえば、いまの「みなとみらい地区」にも、以前は「三菱重工横浜造船所」がありました。余談になりますが、聞いたところでは、「戸部」という町は、その「三菱造船所」に通う職人さんの町だったそうです。戸部界隈に「和菓子屋」さんが多いのは、「三菱造船所」に「お茶菓子」を納めていたから、というのも聞いたことがあります。 話を元に戻しましょう。こうして時代とともに産業の形態がどんどんと変わり、現代では、今まで考えられなかったような異業種同士の提携が進んでいます。その好例が、「自動車」です。いまは、あの「google」が自動車をつくる時代。あと何十年かしたら、「無人カー」だって出現するかもしれません。 「自動車は、自動車メーカーでしか作れない」。 そんな考えを持つ人は、もうほとんどいないのではないでしょうか。 そしてさらに、産業の姿だけでなく、私たちの生活の姿そのものを変えつつあるのが「AI」です。「スーパー」や「コンビニ」では、「レジ」担当の人がいなくなる時代が、そう遠くない未来にやってくると予想されています。自宅でできる仕事も増えるかもしれません。 別の視点で心配しなくてはいけない問題もあります。「少子化」です。「出生率」を1.4として計算すると、2,100年には、日本の人口は5,000万人くらいまで減り、あと1,500年経つと日本人は「ひとり」しかいなくなる……。 そのような人口減少を食い止めるにはどうするかというと、外国の人たちを受け入れる必要が出てくるわけです。 もはや、「1民族1国家」という時代ではなくなりつつあります。 このような感じで、戦後の経済のお話しから入って、現在、そして未来へと「日本」という国の姿をお話ししてくださった汐見先生。ここまでは、およそ「子育て」とあまり関係がないようなお話が主体的でした。 ところが……。 本題は、ここからでした。汐見先生が、過去から未来までの日本の姿をお話ししてくださったのは、「時代は、過去と比べ物にならないくらい、ものすごい速さで変化をしている」ということを、参加してくださっている皆さんに理解していただくためでした。 それをご理解いただいたところで、「では、これだけ急な時代の変化の中で、どのような子どもを育てていったらよいのか」という問題に切り込みを入れ、きょうのテーマ「人間らしく生きる力をどう育てるか」につながっていくわけです。 先にお話ししたように「AI」が登場し、これからの世の中は、ますます便利になっていくでしょう。買い物はインターネット、家事はお掃除ロボット、食事はケータリング……。 人と会わず、からだを使わず、創意工夫をしない。こんな生活があたりまえになるかもしれません。 さらに「AI」の登場で「レジ」の人がいらなくなるように、仕事がどんどん淘汰されていくでしょう。仕事の「種類」が減るため、「失業」ではなく「無業」の人が出てくるかもしれません。 そんな時代を想定したうえで、いったい、どのような子育てをしたらよいのか、それがきょうの「人間らしく生きる力をどう育てるか」につながるわけです。 今まで述べたことを踏まえて、汐見先生は、「これからの子育てで大切なのは、以下の3点に力を入れること」と説いてくれました。 1.からだをつかうこと 2.工夫する努力を怠らないこと 3.人とかかわる努力、人を好きになる努力をすること
そして、最後におっしゃったことが印象的でした。 「テストで点数をとること、偏差値をあげること、銘柄大学を目指すこと、こういった教育はもう終わりです。何かに「こだわる」こと。「自分の好きなこと」をみつけ、それを磨く。つまり、「自分探し」と「自分磨き」こそが、これからの子育てで大切になる」ということでした。 きょうの汐見先生のお話は、保護者の皆さまだけでなく、これからの「幼稚園の在り方」についてもかかわることで、当事者としてとても興味深く拝聴することができました。 汐見先生、本日はとても貴重なお話をしてくださり、誠にありがとうございました。この場を借りて、心より厚くお礼を申し上げます。 また、きょうの「親学塾」に参加してくださった皆さまにも、心よりお礼を申し上げます。ありがとうございました。
というわけで、きょうの給食はこちらです。 ごぼうわかめおにぎり 鶏のから揚げ 豆腐ハンバーグ レンコンの甘辛煮 ほうれん草のごま和え 335kcal ごちそうさまでした。 では、また明日お会いしましょう。 By jimjim