ごあいさつ
遊びがつながり
心もつながっていく
園長 鈴木 直美
杉之子幼稚園では、子どもたちが「幼稚園って楽しい」「明日も幼稚園へ行きたい」と思えるように、私たち保育者自身が幼児教育を楽しみ、保育環境の整備に努めています。その環境の主たるテーマは、子どもたちの「安心」と「安全」ですが、それとともに大切にしているのが「遊び」です。子どもたちは、遊びに夢中になると何かに気づいたり発見したりします。教育理念であります「遊々一心」は、その気づきや発見を友だちと共有することによってお互いの心がひとつにつながっていくことを目指しています。
この時期の子どもたちにとっての遊びは、大切な学びの場です。ひとりあそびが好きな子、お友だちとあそぶのが好きな子、子どもの性格によって遊びかたはさまざまですし、さまざまな遊びかたがあるからこそ、遊びは発展していきます。発展していく過程でお友だちとのかかわりが生まれ、お互いを認め合い、みんなとちからを合わせて達成するよろこびや満足感を経験していくようになります。それが幼児期の成長であり、何よりも大切なことだと私たちは思っています。
人とのかかわり
「人とのかかわり方」の基礎が身につく時期は、だいたい6歳までといわれており、それは子どもが幼稚園に通う時期に一致します。つまり、幼稚園は「人とのかかわり方」を学ぶ場なのです。幼稚園の存在意義は、ここにあると思います。幼稚園でいう「人とのかかわり方」は、友だちとの人間関係そのものであり、それは主として「あそび」の中から育っていきます。友だちと遊ぶことはとても楽しいことですが、ときにはおもちゃの取り合いでケンカになることもあります。ケンカになったとき、子どもたちに仲直りのための時間を与えますと、当事者だけでなく周りの子どもたちもその子の話を聞いたり慰めたりして、問題を共有する姿がみられます。こうして当事者はもちろん、周りの子もトラブルを自分に置き換えながら、子どもたちは仲直りのコツを覚えていきます。
生きていく力
幼児期に必要なのは「質より量」の人間関係だと思っています。それは、できるだけ多くの友だちと接し、色々な問題解決のパターンを経験しながら人に対する適応力を身につけることが大切だと考えているからです。「生きていく力」は、「人とのかかわり」の中でこそ育っていくものだと思います。「生きていく力」を伸ばしてあげるためには、たっぷりとした愛情のもとで自己肯定感を育んであげることが大切です。私たちの園では、子どもたちはやりたい遊びを自分で決め、人や物とのかかわり合いの中で葛藤、失敗、挫折感を経験します。褒められることばかりではありませんが、褒めてあげることは何よりも大切です。がんばったことを褒められると、子どもたちは自信がつきます。そして、その自信とともに見守られているという安心感が、子どもたちの「生きていく力」になるのだと思っています。
元気一杯!すぎのこ幼稚園
私たち杉之子幼稚園は、子どもたちが「あそび」を通して人とのかかわり方を学び、生き方の基礎が身につくような保育を心がけています。例えば、保育者は積極的に「あそび」に参加し、子どもたちと一緒に汗を流したり、笑ったりしながら生きることのよろこびを伝えていきます。杉之子幼稚園には、いつも子どもたちの笑顔と保育者の元気な声がいっぱいです。それが杉之子幼稚園の一番よいところであり、素晴らしいところだと思っています。
どうぞ、子どもたちの輝くひとみととびっきりの笑顔、そしてからだで学んでいる姿を見にいらしてください。杉之子幼稚園は、子どもも保護者も楽しく過ごせる幼稚園です。 杉之子の仲間たちを、どうぞよろしくお願いいたします。
自然の中で
遊び、学び、創造する
理事長 池田 俊一
11年前のユニセフの2001年世界子ども白書のメッセージに、子育てについて「子どもの人生のもっとも早い時期、出生から三歳になるまで起こることが、その後の子どもの生活や青年期の生活に影響を与える」と綴られています。日本ではあまり知られていないことですが、ユニセフは三歳までの教育の重要性をしっかり認識していたことが伺えます。
その一方で、日本には「三つ子の魂百まで」という三歳児神話というものがあります。それは、子育てにとって三歳までが重要で、三歳までは家庭で母親の手で育てないと、子どものその後の成長に悪影響を及ぼすというものです。
70年代から80年代にかけて、校内暴力や不登校が大きな社会問題となりましたが、この問題の大きな要因として、日本の伝統的な育児である、「おんぶ、抱っこ、添い寝、おっぱい」を西洋式育児に切り替えたことが原因であるとの報告がなされています。
かつて、昔の日本人は「しっかり抱いて、下に降ろして、歩かせる」と表現し、愛着による基本的信頼関係から、自律性、そして自発性という経路を経て子どもが育つことを経験則から知っていました。「可愛くば、五つ教えて三つほめ、二つ叱ってよき人にせよ」という昔の日本人の言葉もあります。愛情はしっかり注いで親子関係を揺るぎないものにしたうえで、躾は躾としてきちんとやっていくこと、それが本当の愛情だと説いています。
愛情形成の基本は、家庭です。古来日本では家庭教育のベースに愛着形勢があり、親子間の基本的信頼関係が構築されてきました。そして、この基本的信頼関係が育まれる中で、子どもの対人関係能力や自己制御能力が培われます。子育て教育の主役も、家庭です。幼稚園は、子育て教育の脇役の存在でしかあり得ないのです。
この家庭教育を基本に、私たち杉之子幼稚園の役割は、幼児期という早い段階で「活力」「礼節」「勤勉性」「正義感」「謙虚さ」「親切さ」「思いやり」という人間形成の根幹の部分を、幼稚園の友だち同士の触れ合いの中で育んでいくことです。
それが将来、祖国日本を愛し、日本人であることを心から誇りに思い、平和を愛する、世界から尊敬される日本人の輩出に繋がると考えます。このことが、名脇役たる私たち杉之子幼稚園の果たすミッションであると信じています。