2017.04.26

今日のすぎのこ

ティンガティンガ・イベント!!

JAMBO!!(ジャンボ!!)。スワヒリ語で「こんにちは」のあいさつです。 きょうは、はるばるアフリカのタンザニアから3人のお客さまが来園してくれました。来園してくださったのは、島岡強・由美子ご夫妻とティンガティンガ・アートの絵を描く画家のムテコ氏です。 ご来園いただいたのは、杉之子の子どもたちにアフリカンアートのひとつである「ティンガティンガ」の絵を紹介してもらうことが目的です。 ただ紹介するだけではありません。ティンガティンガアーティストのムテコさんに、子どもたちのみている前で実際に絵を描いてもらいます。 さて、子どもたちはムテコさんの実演と鮮やかなティンガティンガの絵をみて、どのように感じるでしょうか。 「途中で飽きてしまったらどうしよう……」「何も感じなかったらどうしよう……」。はじめての試みなので、不安はいっぱいです。 そんな中、会場となった2階のホールには年長さんが集まり、園長先生と子どもたちの元気な「JAMBO!!」というごあいさつでイベントがはじまりました。 まず最初は、ザンジバル在住の島岡強さんから、タンザニアのことについてお話がありました。タンザニアは、アフリカの東側にある国です。日本に来るには、乗り継ぎなどを含めると1日半くらいかかるそうです。 そして、奥様の由美子さんがタンザニアの言語である「スワヒリ語」について話され、ムテコさんがそのスワヒリ語で自己紹介をされました。それを、由美子さんが通訳してくれます。 そのときの子どもたちの反応、どうだったと思います? はじめて耳にする「スワヒリ語」に興味津々。目はキラキラ。耳はピンピン。独特のイントネーションは耳にとても優しく、ムテコさんのお話を聴いているだけで、会場の空気は、一気にアフリカになりました。 最初の写真で立ってお話をされているのが島岡強さんで、奥に座っていらっしゃるのがムテコさんと由美子さんです。よくみると、ムテコさんの前に黄色の四角いものがありますよね。 実は、これが先日アフリカから杉之子に届いた絵で、島岡さんたちから杉之子に寄贈されたんです。

きょうは、その絵の寄贈式も兼ねておりまして、全園児を代表して「にじ組」の男の子と女の子がそれぞれひとりずつ前に出て、絵を受け取りました。 実は、きょうのイベントには毎日新聞社さまの取材が入っており、記者の方もご来園されていたんです。 この写真は、その取材のためのもの。jimjimは、ちゃっかりと記者さんの横でパチリ。

さて、寄贈式が終わったところで、いよいよムテコさんによるティンガティンガアートの実演にうつります。 ティンガティンガアートには、本当ならペンキを使います。なぜなら、タンザニアには、水彩絵の具やクレヨンなどないからです。あるのは、建築用のペンキだけ。それも赤や白、黒、緑、青、黄色くらいしかありません。この色を混ぜて、色をつくりだしていくんです。 ティンガティンガアートは、下書きをしません。描き手が、キャンバスの上に自由自在に山や木や動物たちを描いていきます。その場面を目の当たりにする子どもたち。 ムテコさんの筆は、魔法のように進んでいきます。その魔法にかかったように、子どもたちはムテコさんの絵に魅せられていきます。もう、ステージの上に身を乗り出している子もいます。

そして、できあがった絵がこちら。夕日のキリマンジャロを背景にした「チータ」です。ちゃちゃっと描いたにしては、素晴らしいデキですよね。 ティンガティンガアートは、最初に背景を描き、それから背景の上に動物などを描いていきます。この絵ですと、上から黄色、赤、白の絵の具を使って雪をいただくキリマンジャロと夕日を描き、次に緑を使って、大地のグラデーションを表現していきます。 きょうは、ペンキではなく水彩絵の具を使いましたので、背景が渇くまでの間、由美子さんがアフリカの民話「ぞうの鼻は、なぜながい?」を読み聞かせてくれました。これもまた、子どもたちは不思議そうに聴き入っていました。 由美子さん、強さんと結婚する前は幼稚園の先生をされていらっしゃったので、読み聞かせのうまさはバツグンでした。 背景が乾いたところでチータを描いていくわけですが、本当に魔法のようにあれよあれよという間にできあがっていきます。チータの斑点の描写も細かく、本物と同じように身体のところは大きく、顔の斑点は小さくなっています。 途中、読み聞かせの時間はありましたが、背景を描きはじめてからチータを描き終わるまで、おそらく30分もかかっていません。「神業」をみたようでした。

実演のあとは、子どもたちからの質問タイムになりました。子どもたちからは、たくさんの質問や感想が寄せられたのですが、おもしろかったのは、ムテコさんへの「好きな食べ物はなんですか」という質問に対するムテコさんの回答でした。 「らーめん」。 これは、ウケましたね。これで、子どもたちとムテコさんの距離が一気に縮まったのは間違いありません。

子どもたちの質問や感想に笑顔で答える島岡強さん、ムテコさん、由美子さん。

最後に、園長先生の声かけで「せっかくだから、みんなで記念写真をとりましょう!!」ということになり、みんな集まってパチリ。 このときも、みんなでスワヒリ語で「いち、に、さん!!」と掛け声をかけました。 以上でイベントは終わりになったのですが、イベントが終わった途端、子どもたちがムテコさんや島岡さんたちに駆け寄って、みんなで握手を求めているんです。

もう、大人気のムテコさん。話し方も、笑顔も、絵もすべてがやさしいすてきな方でした。タンザニアには、ふたりのお子さまがいらっしゃるそうです。 子どもたちって、直感的に「この人はいい人だ!!」ってわかるんですよね。 子どもたちだけではありません。スタッフみんなが、ムテコさんのファンになりました。 ところで、イベントが終わった後、みんなで職員室でランチをしました。そのときに、島岡強さんからいろいろとお話を聴くことができました。 島岡さん、きょうのイベントの最初で、「人として大切な3つのこと」を子どもたちにお話ししてくれました。その3つとは、「志を持つこと」「等身大の自分でいること」「思いやりをもつこと」。もちろん、子どもたちにはちょっと難しいことを承知でお話ししてくださったんです。「難しいから、思い出したらおうちの人にきいてみてね」と、前置きをしながら……。 この3つのことは、島岡さんが言うと、ものすごく説得力があるんです。ランチを食べながら、その背景をいろいろとご本人に尋ねたのですが、ちょっとここでは書ききれません。 島岡さんは、世界を60か国くらい旅をして、その中でアフリカのタンザニアで「この貧しい国を自分の力で変えていこう」と「志」を抱いたんです。まったく未知の国、未知の人たち、未知の文化、未知の言葉……。でも、島岡さんは「自分なら絶対にできる」という、何だかわからないけど「根拠のない自信」があったそうです。 ここで、島岡さんの口から飛び出した「根拠のない自信」という言葉。この言葉は、杉之子の親学塾で何度もご講演してくださったあの有名な先生が大切にしていた言葉です。「子どもたちにとって大切なのは、「自分はできる」という「根拠のない自信」です」と、ご講演のたびにおっしゃっていました。 島岡さんほど、自分で自分の道を切り開いて進んでいる人をみたことがありません。ご興味のある方は、島岡由美子さん著の「我が志アフリカにあり」をお読みになってください。 話しは、ティンガティンガに戻りますね。島岡さんたちと職員室でランチをしていたら、何人かの年長さんたちが扉の向こうに現れました。みると、手に自由画帳を持っています。どうやら、そこに描かれた絵をみせに来たようです。どんな絵なのかと思ったら、さきほどムテコさんが描いたチータの絵でした。 給食の前に、さっそく自分たちも絵の具を使ってトライしてみたんですね。その絵を、ムテコさんにみて欲しくて職員室に来たのでした。 その絵をみたムテコさん、子どもたちに「グッド、グッド!!」といってほめていました。子どもたちの訪問は、ムテコさんたちが帰る直前まで続き……。

最後には、駐車場までやってくる子さえいました。みんな、ムテコさんの絵が、本当に心に響いたのだと思います。 きょうのティンガティンガのイベントを通して、子どもたちに「本物」をみせることがいかに大切かをあらためて感じました。 きょうのイベントは、たくさんの偶然が重なってここまで来ることができたんです。きょうのイベントの開催にあたって、お忙しい中、時間をつくってくださった島岡さんご夫妻とムテコさんをはじめ、きょうのイベントをコーディネートしてくださった「株式会社バラカ」営業部長の安齋様、有限会社キューブの青木様、橋本様には、この場を借りて心より厚くお礼を申し上げます。

これを機会に、またティンガティンガのイベントを開くことができたらうれしいです。 ムテコさん、また来てくださいね!! なお、きょう寄贈された絵は、幼稚園の廊下の壁に飾ってあります。 また、4月28日金曜日から中区日本大通の「ギャルリーパリ」で開かれる「ティンガティンガ原画展」のご案内をホームページに掲載してあります。ムテコさんが描いている場面もみられるそうです。よかったら、お出かけになってください。 きょうは、いつも以上に幸せいっぱい笑顔いっぱいの杉之子幼稚園でした。 きょうのイベントにかかわるすべての方々へ……、ありがとうございました!! by jimjim

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